薬剤師として働いていると、業務量の多さや人間関係の悩みなどで「休職したい」「もう疲れた」と感じる場面に直面するかもしれません。疲れた状態のまま無理をしていると、心身の負担が増加して状況が悪化する可能性があります。
今回は、薬剤師が「休職したいほど疲れた」と感じる原因や、仕事に疲れたときの対処法、転職を考える際のポイントを解説します。
薬剤師が「休職したい」「疲れた」と感じる理由
仕事に関する責任の重さや、業務量の多さによって「休職したい」「疲れた」と感じてしまう薬剤師も少なくありません。また狭い場所で同じメンバーと顔を突き合わせる職場環境も多く、人間関係に悩んでストレスを溜めてしまう人もいるようです。
仕事の忙しさや業務内容に見合った給与や待遇を受けられないときも、つらさを感じてしまうでしょう。ここからは、薬剤師が「休職したい」「疲れた」と感じる理由について詳しく解説します。
仕事が忙しく心身が休まらない
仕事に追われて心身が休まらない状態が続くと、疲れきって休職を考える人が多いです。年中無休のドラッグストアや、遅くまで開いている調剤薬局の増加によって、休みを取りにくい状況に置かれる薬剤師が増えています。
人員が限られていることから、多忙で精神的にも身体的にも負担が大きくなることがあります。また「患者の命を預かっている」というプレッシャーに押しつぶされそうになることもあるでしょう。
在宅医療をおこなっている調剤薬局では、急患に備えて24時間の対応が求められることもあります。またドラッグストアでは、推奨品の販売ノルマに追われるかもしれません。
プライベートの時間を確保できなかったり、家でも仕事のことが頭から離れなかったりする場合、疲れやストレスが溜まっていって「休職したい」と感じてしまうことがあります。
給与に不満がある
多忙な業務に対して支払われる給与が見合わないと、モチベーションを保てずに疲れを感じることがあります。自分の実力が評価されず、なかなか昇給しないなどの不満が溜まることもあるでしょう。
また薬剤師は、新薬や新しい医療の情報を常に取り入れていく姿勢を求められます。それに加え、人の命や健康に関わり、ミスが許されない環境で働いていることから、努力が報われないとつらさを感じやすくなるかもしれません。
人間関係がうまくいかない
人間関係のトラブルで疲れ、休職を望む薬剤師も多くいます。薬剤師として働く場合、1日の大半を同じスタッフと過ごすことが多いものです。スタッフ間の折り合いが悪いと、日々のストレスが大きくなるのは想像に難くありません。
また調剤薬局では、長時間同じ空間で仕事をおこなうことで、スタッフ間の距離が近くなり、お互いの欠点に目がいきやすくなります。働くスペースも限られているため、苦手な人との接触が苦痛に感じるケースもあるでしょう。
病院ではチーム医療を推進するなかで、他職種スタッフとのやりとりに気を遣う必要があります。また基本的に転勤や異動がないため、一度生じた人間関係の悩みを解消しにくいでしょう。
一方、ドラッグストアでは、薬剤師以外にも販売スタッフや美容部員など、年齢や経歴、雇用形態が異なる人が多く働いています。そのため、価値観の違いからスタッフ間で意見の食い違いが生まれ、人間関係に悪影響をおよぼすケースがあります。
仕事にやりがいが感じられない
日々ルーティンワークに追われて、仕事へのやりがいを感じられずに「休職したい」「疲れた」と思うケースが見られます。日々の業務に忙殺されて目標を見失った結果、薬剤師として働く意味がわからなくなり、モチベーションが低下してしまうのです。
たとえばドラッグストアでは、OTC薬について学べると思って入社したのに、品出しやレジ打ちに追われて、顧客対応や薬の知識の習得に時間を避けないケースが見られます。また調剤薬局では、かかりつけ薬剤師の同意書の取得にノルマが課されて、営業トークのような声かけが求められる環境にストレスを感じる人もいます。
「こんなつもりで入社したわけではない」という思いが強まるほど、休職したいほどの疲れを感じやすくなるでしょう。薬剤師が職場でストレスを感じる原因については、以下の記事で詳しく解説しています。
薬剤師の職場ストレスの原因とは？人間関係のストレスへの対処法も解説
薬剤師が「休職したい」「疲れた」と感じたときの対処法
薬剤師が「休職したい」「疲れた」と感じたときに、どのように対応すればよいかわからずに1人で抱え込んでしまうケースもあります。疲労やストレスを放置すると、薬剤師としての業務に支障をきたしてしまうこともあるため、早めの対処が必要です。
ここからは、休職したいほどの疲れを感じたときの対処法を紹介します。
信頼できる人に相談する
仕事に疲れて休職したい気持ちが生まれたら、1人で抱え込まずに信頼できる人に相談することがおすすめです。
業務内容や人間関係に悩んだら、信頼している職場の上司や同僚に相談すると、自分に合ったアドバイスをもらえるでしょう。また薬学部の同期や先輩、後輩は、薬剤師としての立場を理解したうえで、第三者の立場から話を聞いてくれる存在です。
家族や友人などに話を聞いてもらうと、薬剤師業務を知らないからこその新しい目線からのアドバイスがもらえるかもしれません。仮に具体的なアドバイスをもらえなくても、相談するだけで心が軽くなることがあります。
無理をせず体を休める
疲れが溜まっていると感じたら、無理せず体を休めることを優先しましょう。仕事が山積みになっていると「頑張らなければならない」と自分を追い詰めてしまいがちです。しかし体に疲れが溜まると、精神面にも悪影響があります。
睡眠時間を確保し、体の休息を第一に考えてください。気持ちが休まらないときは、体を動かしてリフレッシュするのも効果的です。数日休んでも状況が解消されないなら、思いきって休職を検討しましょう。
また早期に医師の診察を受けることをおすすめします。「多少の心身の不調では、仕事を休んではいけない」「患者に迷惑がかかる」と考えて働き続けた結果、うつ病と診断されることがあります。
そうなると予後も悪くなり、仕事を続けること自体が困難になるかもしれません。休職する際には医師の診断が求められることもあるため、思い詰める前に専門家のアドバイスを受けるのが望ましいです。
近年はストレス社会の影響で、精神科・心療内科を受診する人が増えています。恥ずかしがらずに積極的に専門家を頼りましょう。
働き方を変えられないか検討してみる
「休職したい」「疲れた」と感じるときは、他部署への異動や勤務体系の変更を検討してみましょう。チェーン展開の調剤薬局やドラッグストアであれば、ほかの店舗への異動によって、人間関係や業務内容に変化をつけられることがあります。
また正社員やパートのような企業と直接雇用を結ぶ形だけでなく、1つの職場に縛られない派遣という働き方もあります。働き方を変えるときは、自分が何に疲れを感じているかを自覚し、上司などに伝えることが大切です。
転職をする
今の環境が改善されない場合は、転職をするのも1つの方法です。人間関係や業務内容、待遇などの薬剤師が抱えるストレスは、業種や職場によって大きく異なります。一度ストレスが溜まる状況に陥ると、なかなか脱却できずに苦しい思いをすることも多いものです。
転職がきっかけで、心身ともにゆとりをもった働き方ができるようになるだけでなく、前職よりも給与がアップすることも十分にありえます。転職の目的と希望を明確にし、転職先について詳しく調べ、実りのある転職を実現しましょう。
今の職場に疲れた薬剤師が転職する際のポイント
今の職場に疲れたからといって勢いで転職してしまうと、新しい職場でも同じように、ストレスやつらい気持ちを感じる可能性があります。心身ともにゆとりをもって働くためにも、転職先をしっかり見極めて、納得のいく転職活動をおこないましょう。
ここからは、今の職場に疲れた薬剤師が転職する際に注意すべきポイントを解説します。
「休職したい」「疲れた」と感じる原因を振り返る
まずは「休職したい」「疲れた」と感じる原因を振り返りましょう。自分がどのようなときに疲れを感じるのかを理解することで、転職先に求める条件が明確になって、転職後のミスマッチを防ぎやすくなります。
疲れの原因がわからないままでは、新しい職場でも同じ理由で休職をすることになりかねません。望まない転職をくり返さないためにも、自分としっかりと向き合いましょう。
転職先の条件をしっかりと確認する
希望する転職先が見つかったときは、給与や残業時間、休日数や休みの取りやすさなどの条件をしっかりチェックしましょう。また職場の雰囲気を事前に確認することも重要です。
情報収集や条件の確認を怠ると、今の職場と同じように疲弊してしまう可能性があります。求人票の確認だけでなく、一度職場見学をしたり、今の職場との条件を比較したりして、納得できる転職先を選んでください。
転職サイトや転職エージェントを利用する
自分に合った転職先を見極めるには、転職サイトや転職エージェントの利用を検討しましょう。転職活動では、希望の求人を探すところから始まり、履歴書や職務経歴書の作成、応募・面接とさまざまな段階を踏みます。
採用となっても条件が合わない場合は、交渉する必要性もあります。休職したいほど疲れが溜まっているときに、これらをすべてを1人でこなすのはつらいものです。
薬剤師の転職に特化した転職エージェントを活用すれば、薬剤師ならではの悩みを解消できる求人先を探してもらえる可能性があります。また正社員やパート、派遣といったさまざまな働き方を検討できるのも、転職サイト・転職エージェントを利用するメリットです。
薬剤師が「休職したい」「疲れた」と感じるときは現状を見つめ直そう
薬剤師が「休職したい」「疲れた」と感じるのは、多忙な業務や給与への不満、人間関係のトラブル、仕事へのやりがいを見失うことが主な原因です。休職したいと思うほど疲れたときは、信頼できる人への相談や十分な休息、働き方の見直しをおこないましょう。
新しい職場で快適に働くために、転職活動をする際は疲れの原因をふり返って、求人先探しに活かすことが大切です。さまざまな働き方や職場に求める条件に合う求人を見つけるためにも、転職サイトや転職エージェントの活用を検討してみてください。
