地域医療での活躍が期待される薬剤師。第一線で存在感を発揮するには、医師や看護師、ケアマネージャーに適切な助言・提案ができるだけの薬学知識が必要です。しかし、仕事に就くとなかなか勉強の時間が取れず、日々の業務で使わない知識は抜け落ちてしまいがち。一体どのような勉強法を実践すれば、薬剤師としての業務を続けながら、日々進化する薬学知識を更新できるのでしょうか。
第一線で活躍するために必要な知識
人口の高齢化が深刻化する現在では、薬剤師にも「在宅介護」への介入や「セルフメディケーション」のサポートで独自の価値を発揮することが求められるようになりました。薬剤師の仕事の大部分を占めていた調剤業務のうち、医薬品のピッキングなどの作業は機械や薬剤師以外のスタッフの手に渡り始めているので、今ある知識やスキルを維持するだけでは、第一線で活躍することはおろか、薬剤師として働き続けることが困難になるかもしれません。
これからの薬剤師には、薬局で働く薬剤師以外のスタッフを指導し、医師やケアマネージャーと連携して患者の健康維持をサポートできるだけの薬学知識が必要です。普段の業務で使わない知識はどんどん抜けてしまうので、大学で学んだ基礎知識を学び直しながら、新しい治療法や法制度についても理解を深めることを心掛けましょう。
また、調剤薬局勤務の薬剤師は、勤務先によって特定の診療科の処方箋しか扱わないこともあります。業務で扱わない分野については、自主的な勉強で知識を補完しましょう。
自力でできる基礎固め学習の方法
薬剤師として働きながら勉強に費やせる時間には限りがあります。そんな中で基礎となる知識を固めるために、日々の業務で得た気づきや学びは、手書きのノートやデータにしてまとめておきましょう。薬の飲み合わせや後発医薬品の情報などを記録しておけば、必要なときにいつでも情報をアウトプットできます。
書籍で最新知識に触れる
時間にゆとりがあるときは書籍を読むのもよいでしょう。服薬指導や薬歴管理のマニュアル的参考書を読めば、実践で役に立ちますし、薬剤師として現場に出ると接点がなくなる「薬の化学構造式」や「薬局経営」に関する本を読むのも刺激になります。
スマホアプリで基礎知識を復習する
最近は無料でダウンロードできる薬剤師向けのスマホアプリも増えています。処方箋に書かれている薬剤(成分名)の併用状況をランキング形式で確認できるものや、医療保険制度や調剤報酬の仕組みについて紹介しているものなど、さまざまな種類があるので、ちょっとした時間を活用して、実践で活かせる知識を吸収しましょう。
講演会や学会で最新情報を仕入れる方法
薬や制度に関する最新知識は、書籍やインターネットからも仕入れることができますが、幅広い知識を身につけるには薬剤師同士でノウハウを共有することも欠かせません。独学での勉強だけでなく、ほかの薬剤師の取り組みを聞いたり、それに対して意見を交換したりする機会も確保しましょう。
職場の講習会、興味がある分野の学会に参加する
一番手っ取り早いのは、職場で開催される講習会や勉強会に積極的に参加することです。勤務する職場にそういった機会が設けられていない場合は、大学等の公開講座に参加するのもよいでしょう。公開講座では名刺交換や情報交換会などの機会もあり、薬剤師としての人脈も広げることができます。
専門・認定薬剤師資格の取得を目指す
専門・認定薬剤師資格の取得を目指してe-ラーニング等で専用のカリキュラムを受講すれば、第一線で活躍する薬剤師の経験談や最新情報を仕入れることもできます。勉強の成果は「資格」となり、その後のキャリアによい影響をもたらすでしょう。
専門薬剤師は認定薬剤師と同様、ある特定の疾病や分野について専門的な知識があることを証明する資格です。専門薬剤師の資格申請のためには、先に認定薬剤師の資格を取っておく必要があります。ファーマリンク『キャリアアップに役立つ薬剤師の専門資格とは』
基礎固めと知識の更新でスキルアップを!
患者だけでなく、医師やケアマネージャーからも頼りにされる薬剤師になるために、書籍やアプリを使った勉強や講座への参加を通して知識のブラッシュアップに励みましょう。正確な薬学知識と向上心を持てば、第一線で活躍するチャンスがおのずと開けてくるはずです。
「職場に経験豊富な先輩がいない」「スキルアップを目指して高め合える同僚がいない」という方は、教育体制が充実している薬局に転職するのもひとつの手段です。薬剤師としてのキャリアに関するお悩みは、薬剤師の派遣、転職をサポートするファーマリンクまでお気軽にご相談ください。