人生のステージが変わるタイミングで、転職を考える人は多いかもしれません。特に就職から数年が経過した頃、現在の職場が自分に合っているのか再考することもあるでしょう。

本記事では、いつからいつまでを「第二新卒」とするのか、「第二新卒」と「新卒」「既卒」との違いについて解説します。また、企業が第二新卒を求める理由や第二新卒の転職のメリット・デメリットについてもお伝えします。

そもそも「第二新卒」とは?いつからいつまで?

「第二新卒」の定義は企業によって異なります。特に定義されていない場合には、学校卒業後おおむね3年以内の方のうち、新卒者を除く方を指すことが一般的です。なお、職務経験は問わないため、就職後すぐに辞めた方や就職せずにいる方も含みます。

職種によっては第二新卒として扱われる期間が異なることもあります。例えば、薬剤師など6年制課程卒の専門職では、20代後半までが第二新卒とされることもあるようです。

はじめに、「第二新卒」と「新卒」「既卒」の違いや第二新卒の転職が「やばい」「やめとけ」といわれる理由について解説します。

「第二新卒」と「新卒」「既卒」との違い

「第二新卒」と「新卒」「既卒」の大きな違いは社会人経験の有無です。「第二新卒」は社会人経験の有無は問われませんが、学校を卒業したばかりの「新卒」や卒業後にまだ就職していない状態の人を指す「既卒」は社会人経験がありません。

そのため、第二新卒は一定のビジネスマナーやスキルを持っていると見なされることが多く、企業からは即戦力として期待されることがあります。

第二新卒の転職は「やばい」「やめとけ」といわれる理由

第二新卒の転職が「やばい」や「やめとけ」といわれる理由の一つに、企業側が「短期間で辞めてしまうのでないか」と懸念する点があります。新卒入社後、数年で転職した過去を持つ方もいるため、企業から忍耐力や組織への適応力を疑われてしまいがちです。

また、スキルや実務経験が不足している状態での転職では、即戦力として期待できず、企業によっては第二新卒の採用を見送る場合もあるかもしれません。しかし、このような点を理解し、自分の強みをしっかりとアピールすれば、スムーズに転職を進められるでしょう。

企業が第二新卒枠を求める理由

企業が第二新卒を求める理由として、主に教育にかかるコストを削減できることやすでに一定のスキルを持っていることが挙げられます。特に、薬剤師業界では第二新卒であっても転職できる可能性が高く、企業にとっても価値ある人材と見なされることも少なくありません。

ここからは、企業が第二新卒を求める理由について解説します。

新人教育のコストを削減できる

第二新卒は、すでに社会人経験がある方もいるため、基本的なビジネスマナーや職場でのルールを理解しているケースも多いでしょう。そのため、第二新卒を採用することで、企業は教育にかかる手間やコストを削減できる可能性があります。

新卒者の場合、入社直後から社会人としての基本的な研修が必要です。その一方、第二新卒はそういった教育を省略できる可能性があるため、本来教育に必要であったコストを他の業務に投資できます。

新卒に比べ一定のスキルを有している

第二新卒には、就職後の数年間で基礎的なビジネスマナーや業務の流れを学び、実務経験を 積んでいる方もいるため、新卒よりも一定のスキルを持っている傾向にあるのが特徴です。そのため、新卒に比べて即戦力として活躍できるとともに、入社後の研修期間を短縮できることがあります。

また、第二新卒はすでに社会人としての自覚があり、仕事に対する意欲も高いことが多いため、企業にとって魅力的な人材と捉えられるケースも少なくありません。

企業風土になじむ柔軟性の高さが期待できる

社会人経験が豊富な薬剤師は、こだわりが強いことや、過去の仕事と比較することがあるかもしれません。

一方、第二新卒なら新しい環境に対してオープンな方も多いと想定されるため、既存の社員とのコミュニケーションが円滑になりやすく、会社の風土に早くなじめる可能性があります。そのため、企業にとってスムーズに育成しやすい傾向にあります。

【第二新卒の転職】3つのメリット

第二新卒は新卒や既卒にはない強みを持っており、これを活かすことで転職活動を有利に進められるでしょう。また社会人経験を積んでいることで、自分に合った職場を見つけやすかったり、前職からの年収アップが期待できたりとさまざまなメリットがあります。

ここからは、第二新卒として転職する際の3つのメリットについて解説します。

1.新卒枠に比べライバルが少ない

第二新卒の転職市場では、新卒枠に比べてライバルが少ないというメリットがあります。新卒の採用時期は多くの学生が一斉に就職活動を行うため、競争が激しくなりがちです。

しかし、第二新卒の場合は新卒採用の時期とずれることが多く、比較的競争が緩和される傾向にあります。応募者が少なくなると採用される可能性が高くなるため、自分の希望する企業や職種への転職が実現しやすくなるでしょう。

2.自分に合った職場を見つけやすい

第二新卒の転職には、自分に合った職場を見つけやすいというメリットがあります。社会人経験を積んでいるなら、初めて就職活動をした頃に比べて理想の職場像が具体的に描けるようになり、転職後のミスマッチが少なくなるためです。

自分の価値観やライフスタイルに合った企業を探し、理想の働き方を目指した転職活動が進めやすくなる点もメリットといえます。

3.年収アップが期待できる

第二新卒として転職する際、年収アップできるケースも少なくありません。特に薬剤師の場合、薬剤師が不足しているエリアや需要の高い専門分野を選べば、給与が上がりやすい傾向にあります。

その理由として、企業が即戦力となる人材を求め、経験を持つ第二新卒に高い評価を与えることがあるためです。ただし、給与だけを重視するのではなく、キャリアパスや職場環境も考慮して選ぶことも大切です。

【第二新卒の転職】3つのデメリット

第二新卒として転職を考える際には、いくつかのデメリットも理解しておきましょう。これらのデメリットを把握し、適切に対処することで、転職活動をスムーズに進められたり、転職後のミスマッチを防げたりするでしょう。

ここからは、転職活動を開始する方や転職活動中に知っておきたい、第二新卒の転職における具体的なデメリットを3つ紹介します。

1.「短期離職しやすい」と思われる可能性がある

第二新卒として転職を考える際、「短期で辞めてしまうのではないか」というイメージを持たれるこ

とがあります。第二新卒は新卒で入社してから数年で転職することになるため、企業側から見ると安定性に欠けると判断され、採用過程でマイナス評価を受けることがあるかもしれません。

そのため、応募の際にはしっかりとした転職理由を用意し、前向きな姿勢を伝えることが大切です。

2.基本的なマナーやスキルが求められる

第二新卒で転職を希望する方は一定の社会人経験があるため、企業は一定のビジネスマナーを身につけていることを期待します。

たとえば、電話応対やメールの作成、正しい言葉遣い・立ち振る舞いなどは最低限身につけておきたいビジネスマナーです。また、前職で得たスキルや経験を活かし、即戦力としての働きが求められることもあるでしょう。

転職活動を行うにあたり、最低限のビジネスマナーを再確認するとともに、面接時に自身のスキルや経験を伝えられるように整理しておきましょう。

3.研修の機会が少ない

第二新卒として入社すると、新卒に比べて研修の機会が少ない場合もあります。多くの企業は新卒に対して充実した研修プログラムを用意している一方で、第二新卒に対しては基本的なスキルが身につけているものと判断され、新卒ほどの手厚いサポートを受けられない可能性がありま す。

薬剤師としてのスキルに自信がない場合には、あらかじめ転職先に研修を受けられるか確認しておくとよいでしょう。その際、「研修は全て転職先がするもの」というスタンスではマイナスな印象を与えかねないため、たとえばスキルアップのため自分でe-ラーニングを受講をしている場合には、それらを伝えることも大切です。

第二新卒の転職を成功させるためのポイント

初めての転職活動となると、さまざまな悩みや不安を抱えることでしょう。第二新卒として転職を考える際には、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 転職理由は前向きな表現で伝える
  • なるべく在職中に転職活動を始める

これらのポイントを意識することで、第二新卒としての転職を成功に近づけられるでしょう。それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。

転職理由は前向きな表現で伝える

転職理由を伝える際には、前職への不満を素直に伝えるのではなく、ポジティブな表現を心掛けましょう。前職に対する不満をありのままに伝えてしまうと、企業側からのマイナス評価につながりかねません。

たとえば、前職の教育体制に不満を抱えていた場合、「新たなスキルを磨きたい」や「自分の成長につながる環境を求めています」といった形で、自分のキャリアビジョンを前向きに伝えるのがオススメです。

なるべく在職中に転職活動を始める

第二新卒は比較的転職しやすいといわれていますが、タイミングや転職市場の状況によってはすぐに転職先が見つからないケースもあります。焦って退職したものの、なかなか転職先が見つからないと、ブランクが発生してしまい転職活動に不利になるリスクがあります。ブランクを作らないために、なるべく在職中に転職活動を始めるようにしましょう。

また、先に現職を辞めてしまうと、収入が途絶えてしまい、転職活動に焦りが出てしまいます。余裕を持った状態で自分に合った職場をじっくりと見極めるためにも、在職中に転職活動をするのがオススメです。

第二新卒の転職は転職エージェントに相談を

第二新卒の転職は、スキルや経験を持ちながら新たな環境にチャレンジできるよい機会です。しかし、「短期間で辞めてしまうのではないか」という印象を持たれないか不安を感じることもあるかもしれません。

そういったときには、転職エージェントに相談しましょう。転職エージェントを活用すれば、自分に合った求人の紹介や履歴書の書き方などの専門的なサポートを受けられるため、初めての転職をスムーズに進めやすくなります。