今の職場に不満があって転職を考えているけれど、どのような手順を踏めばよいかわからない方もいるでしょう。薬剤師が希望通りの職場に転職するために、準備にかける期間や方法がわかれば、安心して転職活動に踏み出せるのではないでしょうか。

今回は、薬剤師の転職で必要な準備から内定までの流れ、成功に向けたポイントを解説します。

薬剤師の転職準備から内定までの流れ

薬剤師が転職で成功するには、事前の準備が大切です。なぜなら十分な準備をせずに勢いで転職活動をしてしまうと、なかなか内定を獲得できなかったり、思っていたのと異なる職場で働くことになったりする可能性があるためです。

「早く内定先を決めたい」という焦りが出ることもあるかもしれませんが、薬剤師の転職を成功させるために入念な準備をおこないましょう。ここからは、薬剤師の転職準備から内定までの流れを、5つのステップに分けて詳しく解説します。

1.転職の目的を明確化する

まず「なぜ転職したいのか」という転職理由や、目的を明確にすることから始めましょう。理由や目的を明確化することで、自分が希望する職場の特徴や求める条件がはっきりします。

職場環境を重視するのか、キャリアアップやスキルアップを目指すのか、求める待遇やライフスタイルとの兼ね合いなど、自分の希望をじっくり考えましょう。

また薬剤師の業務内容は、職種や企業規模によって多岐にわたるため、選択肢は多い一方でミスマッチが起こりえます。事前に理想の薬剤師像を明確にしておけば、転職活動で迷うことが減るでしょう。

2.これまでの経験やスキルを洗い出す

今までに築いてきた薬剤師としての経験やスキルを洗い出し、整理することも大切です。認定薬剤師や専門薬剤師、チーム医療の経験などは転職時に有利に働くことがあります。スキルアップやキャリアアップを目指すなら、積極的にアピールしたいポイントです。

これまでの仕事を振り返り、自分の強みやスキル、具体的な経験のエピソードなどを書き出しましょう。今回の転職の目的につながる経験やスキルがないかを確認してください。

製薬企業のMR職でとった契約数や、業務内容の工夫による患者数の増加や残業時間の短縮など、数値で語れる経験を提示すれば、採用担当者にあなたの強みやスキルが伝わりやすくなります。

また自分の弱みについて理解し、克服のために意識していることを整理しておくと、面接時の自己アピールに役立ちます。

3.薬剤師の求人情報を探す

1つ目のステップで明確化した転職の目的や希望をもとに、求人情報を探しましょう。いくつかの求人先を比較検討し、自分の希望に合いそうな職場を選ぶことが大切です。

また転職活動を成功させるためには、念入りに情報を集めることも重要です。求人票の確認だけでなく、職場見学や転職サイトからの情報収集もおこないましょう。

転職サイトでは、企業への直接訪問などを通して、求人票には載っていない内部情報も把握していることがあります。残業時間や有給休暇の取得率、職場の雰囲気など、自分に合った転職先を見つけるために必要な情報が得られやすくなるでしょう。

4.選考対策・面接対策をする

応募先が決まったら、選考や面接の対策をおこないましょう。履歴書や職務経歴書などの応募書類は期限直前に作成するのではなく、前もって丁寧に作成してください。採用担当者に好印象を与えるためには、自己アピールをしっかりおこなうことが重要です。

また内定率を高めるためにも、明確な志望動機を伝えることが求められます。採用担当者に将来のビジョンや熱意を伝えるために、志望動機は力を入れて作成しましょう。

薬剤師の仕事は、職場や業種によって業務内容や求められることが異なるため、希望する職場に応じた内容の履歴書や志望動機を作成し、面接対策を講じることが大切です。履歴書の作成や面接が不安な場合は、第三者の手を借りることをおすすめします。

ファーマリンクでは、模擬面接を実施しています。面接でアピールすべきポイントを把握するためにも、ぜひご活用ください。

薬剤師の志望動機の書き方については、以下の記事で詳しく解説しています。

薬剤師の志望動機の書き方を解説!例文やNG例も紹介

5.内定を獲得し退職する

現職を退職するタイミングは、内定を獲得して転職先の雇用条件のすり合わせが終わった後をおすすめします。転職先が決まっていない状況で退職してしまうと、無収入の期間が生じることから、転職活動に焦りが生まれるかもしれません。

焦りが生じると、自分に合わない転職先を選んでしまったり、情報収集や選考・面接対策がおろそかになったりする可能性もあります。

また退職する際は、有給休暇の残数やボーナスも確認することが大切です。有給休暇の取得タイミングやボーナス規定も考慮に入れて、計画的に退職手続きをおこなうとよいでしょう。ただし、次の職場の都合もありますから、調整は退職する職場と次の職場のバランスを取ることも大切です。

薬剤師の転職準備に適したタイミング

薬剤師の転職準備は、転職活動に必要な期間を考慮に入れておこなうべきです。転職活動に必要な期間は一般的に1~2ヶ月ですが、希望に合った求人が見つからなかったり、競争率が高く内定を獲得できなかったりする場合は、3ヶ月以上かかる可能性もあります。

採用数が増える7月や1月、新卒が入社する3月末~4月が転職しやすい時期といわれています。転職したい時期や転職活動に必要な期間から逆算して、転職準備を始めるのがおすすめです。

薬剤師の転職にベストな時期については、以下の記事を参考にしてください。

「給与への不満を理由に転職したい」面接における転職理由の伝え方を解説

薬剤師が転職先を探す方法

初めて転職を検討する場合、どのようにして転職先を探せばよいのか迷う薬剤師もいるかもしれません。自分の希望に合った職場を見つけるためには、探し方ごとのメリットやデメリットを考慮し、自分にとってベストな方法を選択することが重要です。

ここからは、薬剤師が転職先を探す方法について、メリットやデメリットも含めて、詳しく解説します。

ハローワークに相談する

ハローワークでは、求人サイトなどには載っていない、地域に根ざした求人情報を得られる点がメリットです。公的な期間が運営する事業所や施設の求人は、ハローワークで見つかることがあります。

ただし、すべての相談員が薬剤師の仕事に精通しているわけではないため、薬剤師ならではの事情を踏まえたキャリアプランのアドバイスを得られるとは限りません。また薬剤師向けの求人があまり多くない点もデメリットです。

限られた選択肢や情報のなかから応募先を選ぶことになるため、ハローワークを利用する場合はほかの方法と組み合わせることをおすすめします。

友人や知人から紹介を受ける

すでに勤務経験がある友人や知人から、職場の紹介を受けることも1つの方法です。職場との相性や内部事情をあらかじめ把握できるため、転職後のミスマッチが生じにくいのがメリットです。

ただし友人や知人の立場を気にして、労働条件などの交渉をしづらいと感じる人もいます。また内定後に辞退しづらい一面もあるため、注意が必要です。

転職後のミスマッチを防ぐために、事前に詳細をよく確認したうえで話を進める必要があります。網羅的に情報を比較して転職を検討したい方は、ほかの方法をとりましょう。

薬剤師業界に特化した転職エージェントを活用する

薬剤師業界に特化した転職エージェントは、自分に合った転職先を効率よく探せる方法です。一般的な会社員などを想定した転職エージェントよりも、病院や薬局、ドラッグストアなどの薬剤師の資格や経験を活かせる求人が得られます。

また担当するキャリアアドバイザーが薬剤師業界に精通していれば、応募先に合わせた自己PRや面接対策のアドバイスをもらえます。雇用条件の交渉もサポートしてもらえるため、初めての転職活動では特に心強い味方となるでしょう。

薬剤師の転職活動を成功させるためのポイント

薬剤師の転職活動を成功させるには、自分自身の転職理由を明確にするとともに、応募を検討する企業の方向性を理解することが重要です。企業が目指すビジョンや方向性と自分の価値観が合うかどうかで、仕事のしやすさは大きく変わるためです。

たとえば、調剤薬局に転職するといっても、既存店のフォローと幅広い店舗展開、外来と在宅医療、患者との対話と処理スピードなど、企業によって重視するものが異なります。転職の目的と応募先の特徴を照らし合わせましょう。

ここからは、薬剤師の転職活動をうまく進めるためのポイントを解説します。

職場による特性の違いを理解する

職場によって業務内容や求められるスキルが異なることを理解し、応募先に合った履歴書や志望動機を用意して面接対策をおこないましょう。転職先でどのように働きたいかを明確にしておくことで、自分に合った職場選びが可能になります。

たとえば調剤薬局は、薬剤師としての専門性は発揮できる一方で、ほぼ固定のメンバーで働くため、人間関係で悩む可能性があります。特に異動の可能性がないような場合には、職場見学はした方がよいでしょう。病院は高い専門性が求められるため、やりがいはありますが、スキルを求められる割に年収が低めに設定されていることがデメリットです。

また業種によって、転職のハードルも異なる点にも留意しましょう。調剤薬局やドラッグストアと比較して、企業や病院などは面接の通過率が低めの傾向にあります。それぞれの特性の違いを理解し、希望する転職時期や転職の目的に合った職場を選びましょう。

転職理由は前向きなものにする

薬剤師の転職を成功させるには、応募先に転職理由を前向きに伝えることが欠かせません。面接で退職理由を質問されるのは、企業とのミスマッチを避けたり、応募者に問題を解決する能力があるか確認したりするためです。

たとえば人間関係が理由で転職したい場合は、「チームワークを重視して働きたい」「一緒に働く人とコミュニケーションをとっていきたい」など、これまでの仕事で達成できなかったことを克服したい気持ちを前向きな形でアピールしましょう。

待遇や年収面への不満、人間関係がうまくいかなかったなどのネガティブな理由も、前向きな内容に置き換えて伝えることで、面接の際に採用担当者によい印象を与えられます。

自分の強みを積極的にアピールする

転職活動では、これまで培ってきた経験やスキルなどの強みを積極的にアピールしましょう。仕事を通して学んだ知識や能力、これまで経験した役職、取得した資格を提示すれば、ほかの応募者と差をつけられるかもしれません。

また前の職場での実績を数値化できると、ポテンシャルが伝わりやすくなります。多くの企業では、中途採用時に即戦力となってくれる人材を求めています。自分の強みを活かして、企業にどのように貢献したいかを明確にしてください。

転職したい職場が未経験の領域の場合でも、新しい分野に挑戦する意欲や自発的に学ぶ姿勢が伝われば、採用担当者によい評価をしてもらいやすくなります。応募書類や面接を通して、積極的な姿勢をアピールしましょう。

薬剤師の転職成功に向け前向きに準備を始めよう

薬剤師が転職を成功させるには、入念な準備が必要です。転職の目的を明確にするとともに、これまでの経験やスキルの棚卸しを十分におこないましょう。

転職先を探すには、ハローワークや知人の紹介などさまざまな方法がありますが、なかでも薬剤師業界に特化した転職エージェントでは、自分に合った転職先を効率よく探すことが可能です。

求人の紹介だけでなく、模擬面接や雇用条件の交渉などのサポートも受けられる転職エージェントもあります。ぜひ上手に活用し、能力を発揮できる転職先を見つけてください。