海外留学や出産、育児、ほかの仕事への転職などで薬剤師としての職歴にブランクができると、職場復帰の前に「休職前と同じように働けるだろうか」と不安になるものです。職歴に空白期間ができても業務上必要な基礎知識まで欠けることがないよう、現場復帰する前には知識の復習や新制度の理解に努めましょう。

基礎的な薬学知識を復習しておこう

 大学や大学院で習得した薬学の基礎知識はそう簡単に変わりませんが、調剤機器や薬歴管理などの医療技術については、次々と新しいものに替わっていきます。復職前には調剤の基礎をしっかり復習しておきましょう。基礎をきちんと押さえておけば、職場復帰後、知識を最新にアップデートするのも容易になります。

【復習すべき項目】

・調剤の基礎… 処方箋表記方法の変更について(一般処方名など)
・疾患と薬剤について… 代表的な疾患や薬剤、新薬について
・薬歴管理… POSに基づいたSOAP形式での薬歴の書き方や考え方

 最新の薬剤師業務に関する情報を得るには、2018年9月に発刊された日本薬剤師会の「第十四改訂 調剤指針」が役に立ちます。情報は2016年3月に告示された第十七改正日本薬局方に準拠しており、医薬品リスク管理計画(RMP)やお薬手帳電子版などの現場で使える最新知識も追加されています。

ブランク中に改訂された制度を学んでおこう

薬事法は薬機法に改正

 薬事法は2014年11月25日付けで、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称:薬機法)」に改正されています。薬事法からの大きな変更は、再生医療に関する再生医療等製品の規定が新設された点です。薬剤師の現場から長く遠ざかっていた方は制度の変更点をしっかり確認しましょう。

薬機法改正案の審議も進行中

 薬機法も制定からすでに約5年が経過していますが、2019年3月には、薬剤師・薬局のあり方の見直しや製薬企業の法令順守体制の強化を盛り込んだ薬機法の改正案が閣議決定されました。改正薬機法では、薬局が地域包括ケアシステムの一部として機能するために、薬剤師が調剤時に限らず必要に応じて患者の薬剤の服薬状況を把握し、服薬指導を行うことが義務付けられると見られています。

 2019年4月には、厚生労働省が「調剤業務のあり方について」という通知を出し、薬剤師以外のスタッフが調剤業務の一部を補助することも認められています。現場に戻った際には、以前よりも薬剤師以外のスタッフと協力する機会が増えるかもしれません。

有休消化の義務化

 2019年4月から施行されている「働き方改革法案」では、すべての会社で、年間の有給休暇消化日数が5日未満の従業員については、会社が有給休暇を取得するべき日を指定することが義務付けられました。対象には入社後6カ月が経過している正社員、またはフルタイムの契約社員のほか、一定の基準を満たしたパート、アルバイトも含まれます。

 ブランク前は「有給休暇を1日も消化できていなかった」という方も、年間10日以上の有休がある場合には最低5日の有休を取得できるようになるので、ワークライフバランスを考えながら復職後の働き方をイメージしましょう。

復帰後の振る舞いで気を付けるべきこと

 新しい職場に就職し直す場合は、初対面のスタッフからOJTを受けることになります。産休や育休を経て現職に復帰するケースでも、職場によってはスタッフの大半が入れ替わっているかもしれません。面識のないスタッフには自分から挨拶をし、積極的にコミュニケーションをとることが大切です。謙虚に学ぶ姿勢をアピールすれば、社歴の長さにかかわらず周囲と良好な関係を築けるでしょう。

まずは派遣・パートで肩慣らしを

 現在薬剤師として一線から離れている方の中には「ブランクが空いても働き続けられるように」という理由で薬剤師を志したという方も少なくないでしょう。しかし、最新の薬学に対応できるか、家庭と両立できるかなどの不安があると、復職を憂鬱に感じてしまうものです。

 復職後の働き方に不安がある場合は、最初からフルタイムの正社員として復帰するのではなく、パートや派遣社員から再スタートしてはいかがでしょうか。ファーマリンクでは現役薬剤師のキャリアカウンセラーが一人ひとりの希望に合った求人情報を紹介しています。残業なし、シフト制など、復職後の働き方も柔軟に選べますので、まずはお気軽にご相談ください。