国家資格である薬剤師の平均年収は一般的な職種より高い傾向にありますが、一口に薬剤師といっても、製薬会社の研究職から病院薬剤師まで働き方はさまざまです。給与水準は年齢や地域などの条件によっても開きが生じます。ここでは年齢、職場、地域、働き方ごとの年収を比較してみましょう。
薬剤師の年齢別平均年収は?
以下の表は、厚生労働省が発表した「平成30年賃金構造基本統計調査」から、薬剤師の年収を年齢、性別ごとに整理したものです。
(単位/万円)
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
24歳 | 349 | 357 |
25~29歳 | 476 | 458 |
30~34歳 | 579 | 511 |
35~39歳 | 653 | 560 |
40~44歳 | 674 | 581 |
45~49歳 | 655 | 613 |
50~54歳 | 682 | 565 |
55~59歳 | 691 | 571 |
60~64歳 | 565 | 553 |
65~69歳 | 467 | 502 |
70歳~ | 607 | 362 |
年齢計 | 575 | 524 |
※「きまって支給する現金給与額」×12か月+「年間賞与その他特別給与額」で算出
薬剤師の平均年収(年齢計)は、男性575万円、女性で524万円と男性の方がやや高くなっています。20代のうちから350万円~450万円程度と高水準の収入が得られるのは、薬剤師の給与には「薬剤師手当」が上乗せされているためです。
薬局やドラッグストアで、従業員の監督や医薬品等の管理に責任を持つ「管理薬剤師」の立場であれば、資格手当や管理職手当も上乗せされます。
男性の場合は35歳から59歳の幅広い年齢にわたり600万円台の平均年収を維持できています。女性の場合は平均年収が600万円台に乗る45〜49歳を境に徐々に減少するものの、60歳台までは500万円台に踏みとどまっています。
薬剤師の職場別平均年収は?
調剤薬局
厚生労働省の調査によると、国内には17年度末時点で59,138か所の薬局があります(衛生行政報告例)。薬剤師の多くが調剤薬局で働いていることもあり、調剤薬局で勤務する場合の年収は、薬剤師全体の平均値と重なる450~550万円ほどになるのが一般的です。
ドラッグストア
ドラッグストアではOTC医薬品のほか、日用品や化粧品など利益率の高い商品を扱っています。深夜や休日も営業を行うため調剤薬局より報酬も高くなり、平均年収は650万円ほどです。調剤併設のドラッグストアだとさらに待遇はよくなります。
病院
病院薬剤師は、当直なしであれば17時や18時で勤務が終了する現場も多く、患者の一番近くで専門性の高い業務を経験できるのでやりがいもあります。報酬が低くても求人に応募が集まるという事情から、平均年収は調剤薬局よりやや低めの350~500万円に落ち着きます。病院では人手不足が深刻な医師や看護師などの職種に人件費の多くを割いていることも、薬剤師の年収が抑えられる一因となっています。
企業
企業に勤める薬剤師は新薬の研究・開発や、医薬品の営業(MR)などにあたっています。優秀な大学を卒業した人材が成績を競い合いながら働いており、インセンティブなどを含めると給与の水準は全ての職場の中でもっとも高くなるのが特徴です。企業薬剤師の平均年収は600万円~1,000万円ほどになりますが、大手製薬会社や外資系企業の管理職に就けば、実力次第で年収1,000万円以上の収入も期待できます。
薬剤師の地域別平均年収は?
一般的な職種の場合は地方より都市部のほうが給与は高くなりますが、薬剤師の場合は逆で、人材不足が起きている地方のほうが都市部より平均年収が高い傾向があります。都市部で薬剤師の供給過多が起きるのは、薬剤師を育成する薬学部が都市部に集中しているためで、年収アップを狙うなら人手の足りない地方の薬局や病院の求人を探すのがいいでしょう。
薬剤師の年収は働き方によっても変わる
薬剤師はフルタイムで働く正社員のほかにも、ひとつの職場で安定して働けるパート、プライベートな時間も確保しやすい派遣など、働き方の選択肢に幅があるのが特徴です。理想のワークライフバランスや年収を考慮して、自分に合った働き方を選びましょう。
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