高齢人口の増加に伴って医療法医薬品を利用する人が今後ますます多くなると予想される日本では、薬局のサービスを担う人材の確保が急務となっています。欧米では「ファーマシーテクニシャン」という調剤業務の補助を行うスタッフがすでに活躍していますが、最近は日本でも薬剤師以外のスタッフに調剤業務の一部を任せるための仕組み作りが進められています。

ファーマシーテクニシャンとは?

 「ファーマシーテクニシャン」は、薬剤師の指示に基づいて医薬品のピッキングなどの調剤業務の一部(補助)を行うスタッフのことです。日本では「調剤技師」や「調剤助手」、「調剤補助員」とも呼ばれています。

 薬剤師の本来の仕事は、患者さんや医療スタッフとコミュニケーションを取って、薬効や副作用情報をもとに適切な調剤や服薬指導を行うことです。しかし多くの調剤薬局では、医薬品のピッキングなどの対物業務に時間を取られて対人業務に時間を割けないという問題がありました。そこで現在では、薬局や病院に「ファーマシーテクニシャン(調剤助手)」と呼ばれる非薬剤師スタッフを配置し、調剤薬局の業務効率化を進める仕組みが検討されています。

ファーマシーテクニシャン(調剤助手)の仕事内容

 厚生労働省は平成31年4月に「調剤業務のあり方について」という文書を通して、薬剤師以外のスタッフに実施させることが可能な業務を整理しました。現段階で「薬剤師以外のスタッフが実施しても差し支えない」とされているのは以下のような行為です。

  • ・医薬品(PTP シートまたはこれに準ずるものにより包装されたままの医薬品)の必要量を取り揃える
  • ・一包化した薬剤の数量を確認する
  • ・調剤済みの薬剤を患者のお薬カレンダーや院内の配薬カートなどへ入れる
  • ・電子画像を用いてお薬カレンダーを確認する
  • ・調剤に必要な医薬品を取り寄せた場合などに、先に服薬指導を薬剤師が行ったうえで、患者の居宅などに調剤した薬剤を郵送する

 もし日本でファーマシーテクニシャン(調剤助手)の制度が導入された場合は、薬剤師で無い人に任せる仕事が増えてくるという事なので、将来に備えて薬剤師としてスキルの維持・向上をしていく必要があるでしょう。

ファーマシーテクニシャン(調剤助手)に資格は必要?

 薬剤師の資格を持たないスタッフが医薬品のピッキング等を行うことは、「調剤に最終的な責任を有する薬剤師の指示に基づく」という条件付きで最近認められたばかりです。日本にはまだ、「ファーマシーテクニシャン(調剤助手)」としての知識・技能を証明するような公的資格はありません。

 また、先にご紹介した「調剤業務のあり方について」では、薬剤師以外のスタッフに調剤業務の補佐をさせる場合、「業務に関する手順書の整備や薬剤師以外のスタッフに対しての研修を実施すること」とされています。

ファーマシーテクニシャン(調剤助手)の給料は?

 アメリカやイギリスなどでは、専門的な講習や資格の認定を受けた人がファーマシーテクニシャンの職に就いており、薬剤師をサポートする専門職として安定した収入を得ています。

 日本においては、薬剤師ではないスタッフの職域について議論が進められている最中です。「調剤業務のあり方について」で待遇や資格に関する言及がないことを踏まえると、特別な認定制度ができるまでは、一般的な事務スタッフと同じ給与水準が続くのではないでしょうか。

ファーマシーテクニシャン(調剤助手)は薬剤師のサポート役

 ファーマシーテクニシャン(調剤助手)のサポートによって薬剤師が本来の業務に集中できるようになれば、医療サービスの質の向上が期待できます。薬剤師として働くなら、ファーマシーテクニシャン制度に関する動向もチェックしておきましょう。


▼医療事務・調剤事務のお仕事をお探しの方は【医療事務リンク】からご相談ください(無料)
https://iryojimu-link.com/