薬剤師の平均年収
平成26年度における厚生労働省発表の「賃金構造基本統計調査」によれば、薬剤師の平均年収は、531.1万円です。平均月収は37.6万円、平均賞与額は79.9万円となっています。性別・年代別の平均年収のデータも毎年公開されているため、転職を決める際の指針として利用することができます。
勤務先別に見る年収
薬剤師の一般的な勤務先を大きく分けると、調剤薬局、病院、ドラッグストア、製薬会社の4つに分類することができます。調剤薬局や病院に薬剤師として勤務する場合、スキルや地域によって変わりますが、年収はおよそ400万円から650万円ほどです。勤続3年目で500万円ほどに達するのが、調剤薬局や病院勤務の薬剤師が稼ぐ年収の一般的なモデルです。ドラッグストアでも基本的には調剤薬局や病院と変わりませんが、店長クラスになるとさらに年収が上がるため、700万円以上稼げるケースもあります。製薬会社の場合は好待遇なところも多く、年収が800万円を超える企業も多いですが、研究職の採用は極めて少ないです。その他にも営業職の採用はありますが、こちらは成果主義のところも多いため、年収は変動しやすいといえます。
地域別に見る年収
都道府県別に見ると、薬剤師の平均年収が最も高いのは静岡県で660万円ほど、逆に最も低いのは岡山県で427万円ほどです。230万円ほどの年収差があり、収入差は地域によって大きくなっています。平均年収が600万円を超えているのは、静岡県、群馬県、広島県、山口県、熊本県の5県のみです。全職種で都道府県別に見た時のトップ5は東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府の順になっているため、他の職業と比べても、薬剤師という職業は地方で稼ぎやすい職業といえます。なぜならば高齢者が多く薬剤師が少なくなりがちな地方において、薬局数と患者数と薬剤師数の需給バランスのために薬剤師の仕事量は多く、必然的に年収が高くなるからです。
他職との年収差
医師や歯科医師といった薬剤師と同じく6年制大学を卒業しなければ資格の得られない職の場合、平均年収は医師が1,154万円、歯科医師が734万円です。それに比べると平均で530万弱という年収は決して多くはありませんが、薬剤師は働きやすさの面ではそれらの職を上回るものがあるため、未だに人気は衰えていません。
薬剤師がさらに稼ぐ方法
薬剤師が稼ぐためには、現状よりも高い年収で働ける企業に転職するというのが一般的な方法です。より給料の高い企業を探すためには、転職エージェントに相談したり、企業の事業内容や業績が開示されている有価証券報告書を参考にしたりするとよいでしょう。
地方で働く
また、地方で薬剤師として働くことも収入の上昇につながりやすいです。事業主が薬局を経営するにあたっては、厚生労働省が定めている「薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令」を遵守する必要があります。1日に取扱う処方箋の平均枚数40枚につき、薬剤師を1名配置することを義務付けるというもので、この省令により薬剤師1人あたりの売上げの上限はある程度決まってきてしまいます。同じ枚数の処方箋を取り扱うのであれば、テナント料や土地代が高くなりがちな都心にある店舗よりも、それらが安く済む地方にある店舗の方が薬剤師により多くの給料を支払う余裕があります。そのため、地方で働く薬剤師の方が収入が高くなる傾向があるのです。
深夜に働く
夜間勤務で働くことでも収入の上昇は見込めます。労働基準法の第37条3項により、夜22時以降の労働には深夜の割増手当が付くので、昼間に働くよりも時給が高くなるためです。緊急病院や夜間診療所の他にも、24時間営業のドラッグストアや調剤薬局など、夜間勤務で薬剤師が働ける場が徐々に増えてきています。
ダブルワークで働く
ダブルワークをして働く時間を増やすことで、収入を上げる方法もあります。ダブルワークとは、業務終了後や休日に別の職場で働くという方法です。ダブルワークで働く薬剤師の中には、薬剤師以外の仕事をする人も多いですが、別の調剤薬局やドラッグストアで働くパターンもあります。ただし、管理薬剤師や公的機関や公立病院で働く公務員薬剤師、社内規則で副業が禁止されている一般の薬剤師には、この方法は使えないため注意しましょう。